徘徊をするからといって個室隔離は人道に反する

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老人保健施設などで働いていると、どうしても年齢的な事柄から認知症の方が入ってきます。おそらくこのようなケースでは、家族が介護をしきれなくなってしまって、藁にもすがる思いで施設の窓を叩くのでしょう。しかし、このような重症化した状態で施設入所をされる方は、いわゆるBPSDと呼ばれる認知症に関係した問題行動が現れることがよく知られており、その問題行動の中でも徘徊が目立つ傾向にあります。

この徘徊については、自由にさせておくべきであるとか、ある程度の制限を設けるべきであるなどのいろいろな意見がありますが、その対応策の一つとして個室隔離というものが挙げられます。個室隔離は、その名前の通り、徘徊をする人を個室に入れて施錠をしてしまうことです。個室に施錠をするわけですから、その人は外に出られる状態ではなく、完全に自由を封じられるので徘徊ができなくなるのです。

徘徊を手っ取り早く制限するのであれば、個室で隔離をしておくことはメリットがあるでしょうし、かなりインスタントで早いです。
(参考:皆んなが寝静まる夜こそ徘徊をするべき時間帯

しかし、徘徊をするからといって個室隔離は人道に反すると言っていいでしょう。もしも自分が個室隔離をされてしまったらどうでしょうか。あたかも実験室に入れられるモルモットと同じように、人間としての尊厳を全て奪われて、人権の無いただの物として扱われているのと同様になってしまうでしょう。そのような環境で個人を閉鎖するのは、人権の観点からしてできるだけあってはならないことだと思います。

徘徊を制限する方法は個室隔離以外にも色々とありますし、むしろ徘徊を制限せずに自由に歩かせてあげるほうが結果として徘徊が酷くならないという結果もあるようです。ですので、徘徊をしたからといってすぐに個室に隔離して自由を奪ってしまうというのは絶対にせずに、ある程度は徘徊をする本人に合わせて対応をするほうが良いと、老人施設職員の立場から言わせてもらいます。